Vol.16 はじめての夢
保育園にお呼ばれして、お仕事紹介をしてきました(前回は、呼ばれたということを書きました)。「お花屋さん」は将来の夢のトップ3に入るそう。
とても緊張して訪れたのですが、子供たちがものすごく優しくて、礼儀正しくて驚きました。コミュニケーションをとったのは5-6歳の子供たちでした。
「どうしてお花屋さんになったの?」とか「毎日どんなお仕事をしているの?」とか、子供たちからたくさんの質問があり、なるべくわかりやすく答えていったのですが、うまく伝わったか心配。お仕事紹介コーナーのあとは、実物の花を見ながら、みんなでお絵描きをしました。「いいよいいいよ〜」と褒めながら、楽しい時間を過ごしました。お絵描きが終わると、みんなで給食も食べました。
小さなころの夢……。幼稚園に通っていたのですが、将来の夢を「ねこ」と書いたら「せめて人間の何かにして」と母に激怒された記憶があります。それで、その次の年には、なりたくもないのに「警察官」と書いたら「私は警察が大嫌い」と理不尽な激怒をふたたび頂戴しました。
中学生くらいまでの記憶は合わせても合計10分くらいしかないのではないかという記憶力の悪さなのに、これは鮮烈に覚えています。
脱線してしまいました。
きっと、この日のことを覚えていてくれる子供たちは少ないと思うのですが、記憶として残らなくても、どこかで原体験というか、ただぼんやりと花との距離が近くなったらいいな、と思いました。
親近感に似たなにか……。
自分にも、忘れてしまっているけれど実は似たような経験があるのかなぁ、と空想を展開したけれど、思い出せるわけもなく。
都会で暮らしていても、街を歩いていればたくさんではなくても花が目に入ります。その度に、この日の記憶をもとに、ほんのすこしだけでも楽しくなったらいいな、と思います。もちろんこれを読んでくれた人たちにも。
YASUTAKA OCHI
Flolist
1989年生まれ。表参道ヒルズでフラワーショップ「DILIGENCE PARLOUR」、東京ミッドタウンのイセタンサローネで「ISdF」営みながら、花や写真、文章を主軸に様々な表現活動を行なっている。店頭小売のほか、イベントや広告などの装飾も行う。