Vol.4 ガーベラ
ガーベラ。花に詳しくなくとも名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
濁点が2つもある強そうな名前とは裏腹に、するりと伸びた茎からボンっと絵に描いたような花が咲く。ガーベラの語源は、ドイツ人の植物学者であるガーバーさんの名前からきているのですが、和名では花千本槍と呼ばれています。
こちらもなかなか強そうな名付けです。
ダウンジャケット。ダウン、ダウンと気軽に言うけれど、ほんのりかほるボクシング。そういうことじゃないのは、わかっているのだけれど、なんとなく弱そうな名付けです。気になって調べたら、水鳥の綿毛をダウンボールと呼ぶそう。へぇ。フェザー、中綿、ポリエステル素材のものなども一括りにダウンと呼んでしまっていました。危ない。
前回の、帽子のくだりとも重なるのですが、ダウンジャケットの好きなところはTシャツに着るだけでも全然オッケー! という簡単さ。絶対に、一着あればいいものを、5-6着ほど持っています(着道楽)。
また脱線してしまいました。
ガーベラは、茎がストローのように空洞になっていて、やや傷みやすい。茎の状態がよく保てれば花はとても長持ちするのですが……。
普段、ほとんどの花を、花瓶の水はたっぷりで! と伝えるのですが、ガーベラに関しては、なるべく浅め。浅くして、日毎にどんどん短く切っていくと茎も良いままに飾っておけます、と伝えます。
一輪がパッとしているものは、いいですね。よく、花から元気をもらうという表現をお客様などから聞くのですが、ガーベラは、その表現にぴったりの花なんじゃないかなと思います。しかし、気楽な花たち、そんなタイトルでお送りしていますが、個人的に一番苦手な花束の注文は、ガーベラだけの花束。すごく難しい。茎のうねりと花の方向とに一貫性がなく、たいへん苦労します(誤魔化しも効かず、技量を試されている感がある)。
ふぅ。
〜fin〜
YASUTAKA OCHI
Flolist
1989年生まれ。表参道ヒルズでフラワーショップ「DILIGENCE PARLOUR」、東京ミッドタウンのイセタンサローネで「ISdF」営みながら、花や写真、文章を主軸に様々な表現活動を行なっている。店頭小売のほか、イベントや広告などの装飾も行う。