vol.1 アンスリウム
フローリストの越智 康貴です。表参道ヒルズで” DILIGENCE PARLOUR”、
東京ミッドタウンのイセタンサローネで”ISDF”という花屋を運営しています(お近くにいらした際は是非お立ち寄りくださいね! ((開口一番に宣伝など))。
たまにある、あー、これ花だと思っていたのに花じゃないのね! という現象(名前をつけてやりたい)。
アンスリウムも、その現象を起こしがちな花のひとつ。この、ハート型の真っ赤な部分はジャンル分けするならば”葉”の部分で、真ん中のヒュンッと伸びた部分が”花”。
——そんなことは、どうでもよい。
自宅に飾る花を選ぶとき、面倒くさがりな自分は、なるべく長持ちする花を選ぶ。たいていの切花が1週間程度の見頃だとしたら、このアンスリウムは2週間以上。うまくいけば1ヶ月もきれいな状態が続く。
それに、南国調というか、トロピカルなイメージが強いけれど、葉物を添えずにアンスリウムだけを少ない本数でぴょんぴょんと飾ると、造形や質感も相まってどこか彫刻的な雰囲気。
爛々と咲く花々も好きだけれど、こういうスッキリとしたオブジェのような飾り方は、逆に印象的です。日々、いろいろな花に触れるけれど、こんなに気楽な花はない、と思ってしまう。
服装に関しても、だいたい同じ感覚で、気に入ったデニムが一本あれば、ズタボロになるまではき続けてしまう。
決まった一本があれば、シャツやニットやコートを少し買い足せば、成立するし……、なんて思いながらも気がついたらクローゼットはギッチギチなのでした。
人間らしい! なんて。
~fin~
YASUTAKA OCHI
Flolist
1989年生まれ。表参道ヒルズでフラワーショップ「DILIGENCE PARLOUR」、東京ミッドタウンのイセタンサローネで「ISdF」営みながら、花や写真、文章を主軸に様々な表現活動を行なっている。店頭小売のほか、イベントや広告などの装飾も行う。