Vol.15 食卓を飾る花
たとえば人の御宅へお呼ばれしたときには、花を持っていく。相手の趣味によるけれど、僕の場合は、その場で生けるということができるから、ざっくりとした花束を持っていくことが多い。
食卓に花を飾るときには、思いっきり飾った方が面白いものになる。特に家庭料理が振る舞われるときには、テーブルが面白いと食事が面白くなる。これは確実なもの。大前提としてお伺いする相手への尊重があるけれど! まさに彩りを加えてくれる。
つい先日お邪魔した御宅には花瓶が沢山あったので「やりたい放題やっていい?」と確認してから、ありったけの花瓶に花を生けて並べた。「邪魔だよね」と言いながら。
突然、空間がファンタジックになって、みんな笑っていた。食事は一層素晴らしいものになった。まもなく会話も盛り上がる。
季節の花がいちばん良いけれど、時期ではないものもミックスで出荷されているから、切花でしかできない組合せにしてみるのも面白い。
一輪だけ飾るのでも、花は特別な時間を演出してくれる。日常のなかに非日常をもたらしてくれる。理由はわからない……。何故だか雰囲気が良くなる。かわいらしい猫やなんかにも近い? 恋に似ている?
YASUTAKA OCHI
Flolist
1989年生まれ。表参道ヒルズでフラワーショップ「DILIGENCE PARLOUR」、東京ミッドタウンのイセタンサローネで「ISdF」営みながら、花や写真、文章を主軸に様々な表現活動を行なっている。店頭小売のほか、イベントや広告などの装飾も行う。