細部を愛でる〜国産時計シチズンに見る加工技術
時計への偏愛を語りながら、その魅力の、ひとしずくでもお伝えできればという本企画。
今回選んだテーマは「ディテール」です。
人の手がかかるプロダクトだけに、やはり細部へのこだわりは尋常ではなく、その点で、惚れ込める要素が満載なわけです。
デニムを愛する人たちならば、やれヒゲの落ち感が、だの、やれ裾周りがもうちょいすっきりしていたら、だの語るのと変わらないので、ご理解いただけるかと。
細部を語るのに打ってつけな一本が、国産時計の雄、シチズンの看板モデル「シチズン アテッサ」です。私の愛用モデルは2011年発表のモデル「BY0044-51E」。
シチズンは、ともすると国産時計においてはセイコーの影に隠れている印象もあるやもですが、日本時計史においてさまざまな先駆けとなってきたウォッチメーカー。こちらのモデルもそうですが、「エコ・ドライブ」と呼ばれる光発電方式は、シチズンの十八番。SDG’sの重要性が叫ばれる昨今、ソーラーウォッチが見直されていますが、その先鞭をつけたといってもいいでしょう。
また、とりわけ加工の難しいといわれるチタンにおいて、その加工技術の高さでもお馴染み。
よく見るとケースのエッジがキリっと立っていたり、ツヤツヤな面とマットな面のメリハリがついているかと(傷だらけなのは、10年以上連れ添った証!)。
金属的な粘度をもつチタンという素材では、これを平滑に磨き上げるには、相当の技術がいるんですって。
さらには、強度がありながら柔らかいという点では、一般にメガネフレームで使用されることでも知られてますよね。
その点、表面に傷がつきやすいのは難点なんですが、それについては、「デュラテクトDLC」というシチズン独自の硬化加工でカバー。10年使うとこうなりますが(笑)。
そうはいっても、こうした金属加工の美しさは、やはり時計愛好家としての醍醐味。このエッジや表面を眺めては、お酒が飲める。そんな偏愛が楽しいわけなんです。
一般的には、ビジネスユースを狙った機能モデルで、第二時刻へと瞬時に調整してくれるダイレクトフライトと呼ばれる機能や、基地との定期的な交信で精度を保つ電波受信機能も搭載。実際、海外出張でも活躍してくれました。
けど、やっぱりこちらはファッションメディアですから、ファッションにもあわせやすい点もお伝えします。
オールブラックのメタルブレスウォッチですから、実は何かとあわせやすいんですね。なので、例えば、シンプルにワークシャツ&生デニムの腕元にONというのは、一番わかりやすいこなし方。足元は、レザーのローファー、例えば、パラブーツの「ランス」あたりはどうでしょう。(ユニクロのノーカラーシャツ/レッドカードのデニム)
あるいは、ブラックの引き締め効果を狙うなら、春先に楽しみたいレモンイエローのニットに、かなり色落ちした(レッドカードらしさ満載の)ダメージデニムというのもおすすめ。足元はシンプルにコンバースあたりがハマるのでは。(ジョン スメドレーのニット/レッドカードのデニム)
というわけで、細部を愛でつつ、着こなしにも活躍。時計っていろいろ使えるんですよ!
また次回!
・今月の時計
シチズン アテッサ BY0044-51E
チタニウムケース、44.5㎜径、エコ・ドライブ
※発売終了品
以上。
MASASHI TAKAMURA
エディター/ライター
男性向けライフスタイル誌の編集を経て、現在はフリーランスとして活動。2013年に初のスイス取材を経験して以来、腕時計の世界にどっぷり。時計とファッションの相性を探求する40代。デニムカジュアルのほか、ゴルフ、音楽、スポーツ、食など、取材範囲の節操のなさは業界随一? いずれはK-POP、麻雀、サッカー界への進出をも目論む。