王道か、ハズしか? ベル&ロスのラウンドウオッチ
皆さん、腕時計はお好きですか?
服好きの皆さんに腕時計の魅力も紹介したい。なんとしても、力づくで。これが、勝手に私が感じている本連載のミッションです。こんな質問をしましたが、気にせずに進めますね。腕時計の魅力は、数知れず。手元のチラ見で時刻がわかる利便性は捨ておけないし、手元のアクセサリーとしても有効。もちろんそれ以外にも多くの魅力を湛えています。
2回目となる今回は、機械式時計、ベル&ロスのBR-123 スポーツ ヘリテージというモデルをご紹介。ここでは、数ある腕時計の魅力のひとつ、ミリタリー的なアクセサリーとしての効果を挙げましょう。
ベル&ロスというブランドは、計器にインスパイアを受けたデザインが魅力。2005年に登場した角形のモデル「BR01」(イラスト参照、手描き失礼!)は、ラルフ ローレンの広告ビジュアルに着用されたことでも話題となり、ファッション好きと時計好きを繋いだ名作のひとつです。
時計好きは、メカ好きや計器好きにも共通する部分が多いこともあり、ベル&ロスが発信する「計器モチーフ」のデザインが、ツボというファンは少なくありません。
過去の展示会(2013年バーゼル)で撮影した当時の新作です。限定モデルでした。うん、格好いい。ピントが外れています……苦笑。
そのラウンド型となるのが、本モデルです。
毎年行われているスイスの新作発表会に初めて取材に訪れた2013年(写真は当時のもの、私物ではなく、サンプル試着中)。
試着した際に、当時着ていたデニムシャツにとってもマッチして一目惚れ。2年後に念願かなって入手したのです。
当時を振り返えれば、黒文字盤にベージュの塗料でヴィンテージ風に仕上げたインデックスの配色や、計器らしいシンプルな数字フォント、同様のフォントのベゼルに心惹かれたのでしょう(プレスの方に「お似合いです!」などとおだれられ、気を良くしたことも一因ですが)。
さておき、ミリタリーテイストの時計がファッション好きのツボに刺さる大きなポイントだと思っています。
私は、「王道か、ハズしか」という大仰な見出しを立てました。が、実のところ、ファッションでも同様ですが、もちろん客観的な答えなどはありません。「501か、517か」「ラルフか、トム ブラウンか」と問うようなものですから。
角形が定番となるブランドのなかではハズしに位置する本モデルをチョイスしました。自分の直感にしたがったのです。正直に言えば、王道の角形のほうが、少し根が張るという金銭的な理由もありましたが。
「王道」という多数決にとらわれず、少数派の好む「ハズし」をチョイスする脇道の面白さもあると感じるからです。良質なブランドの価値を感じられる一方で、他人と被りにくく、それ何?などと興味をもたれる(たまに)、などのメリット(たぶん)もあります。これは、自分を納得させるいい「言い訳」にもなります。
「ハズし」だからいい。
少し他人と異なるチョイスが不安になったときは、あえて選んでいる自分を肯定してあげるためにも、ぜひ使ってみてください。
時計選びでも、直感でピンときたモデルより、あれこれ考えた結果、「アンパイ」を選んでしまいそうになることもありますから。
ちょっと、文字文字しくなりました。ここで、デニムとの相性の良さをコーデにてご紹介。
ミリタリー系の顔立ちなので、デニム・オン・デニムにはバッチリ似合います。黒文字盤が引き締め効果ももたらしますね。
(古着のラルフ ローレン/レッドカードのデニム)
ベルトをオリーブに交換すれば(この話はまた別の機会に)、オリーブのアンサンブルトップス&デニムというコーデにもマッチ。
(ホワイトマウンテニアリングのカットソー&ビューティ&ユースのカーデ/レッドカードのデニム)
なかなかに使い勝手がよいのもお分かりいただけるかと。
計器デザインに端を発するミリタリーデザインと、その雰囲気を考慮してスタリングを組んでみる。背景も踏まえた組み合わせの妙を楽しめるのも、腕時計のアクセサリー効果がもつ魅力だと考えるわけです。
では、また来月!
・今月の時計
BR-123 スポーツヘリテージ
SSケース、42㎜径、自動巻き
37万9500円(参考価格)
MASASHI TAKAMURA
エディター/ライター
男性向けライフスタイル誌の編集を経て、現在はフリーランスとして活動。2013年に初のスイス取材を経験して以来、腕時計の世界にどっぷり。時計とファッションの相性を探求する40代。デニムカジュアルのほか、ゴルフ、音楽、スポーツ、食など、取材範囲の節操のなさは業界随一? いずれはK-POP、麻雀、サッカー界への進出をも目論む。