冬は白い野菜が美味しい。白菜に大根、カブ、カリフラワーに長ネギ・・・etc.寒さが厳しくなるごとにどの野菜もたっぷりの水分を含んでみずみずしくなり、甘さもぐん増す。中でもお気に入りなのがカブだ。生でも加熱してもどちらも美味しく、実も葉っぱも捨てるところがない。クセがなく、和洋中とどんな料理に馴染むのもカブの魅力だ。
収穫したての真っ白で新鮮なカブはまずは生のまま食べたい。皮のまま歯触りを残るくらいの厚さにスライスしてひと塩したものはどんなものとも相性がいい。洋なら、レモン汁とオリーブオイルであえてパルミジャーノをおろしかけるのもおすすめ。和ならペースト状にした梅干しと鰹節と混ぜたり、レモン醤油を馴染ませて。中華なら搾菜とあえて胡麻油をひと垂らし。
くし形に切って、きゅうりと一緒に漬けた浅漬けは冷蔵庫に作っておくと常備菜として重宝する。そのままサラダ的にも食べられるし、おつまみにもお弁当にもピッタリ。ざく切りにしたらひと塩して余分な水気を切ってから、白だし、水、酢を合わせた調味液に浸してジップロックなどの保存袋で馴染ませるだけ。旨味のある白だしに酢を加えることで味がぐんと締まる。冷蔵庫に入れておけば1週間は楽しめる。
葉っぱも捨てずに刻んで浅漬けに。大根の葉は火を入れないとアクがあるけれど、カブの葉っぱはそのままでいける。捨ててしまったら本当にもったいない。よく洗って細かく刻んだところにやはり塩を振ってひと混ぜして水気が出たらしっかり絞るだけ。少し白だしを忍ばせておくと旨味が加わって美味しくなるのでお好みで。
そのまま炊き立てご飯に混ぜた菜飯は白米の甘さにシャキシャキの歯触りが楽しくてお代わり必至の美味しさ。胡麻を振ってもいいし、しらすや納豆に混ぜるのもおすすめ。この葉っぱの刻んだのが食べたくてカブを買っていると言ってもよいくらいだ。こちらも多めに作って冷蔵庫に常備している。
火を入れてもあっという間に火が通るのがカブのいいところ。滋味溢れるポタージュスープにしたり、ほっこり温まるポトフやクリームシチューに入れたり、美味しいスープを含んだトロトロのカブの美味しさは冬ならではの楽しみ。
逆に歯応えを残して炒め物にするのも意外な美味しさ。フライパンでじっくり焼き色を付けたり、オリーブオイルに絡めてオーブンでじっくりローストするとメイン料理の付け合わせにピッタリ。シンプルでいながらみずみずしくてほっくりしていてカブの美味しさを再認識できるはず。
ベーコンや豚バラ肉、干しエビなど、旨味成分のあるものと炒め合わせるのもおすすめ。ひと口大に切った豚バラ肉の薄切りをニンニクと一緒にカリカリになるまで炒めたところに1センチの厚さに切ったカブと炒め合わせ、塩胡椒、酒少々と醤油で味付けしたものは実家の母譲りのレシピ。
和風とも洋風とも言えない炒め物だけれどご飯によく合うどこか懐かしい味わいなのだ。炒めるだけの簡単なレシピだが、ただ気をつけなくてはいけないのが、カブはあっという間に火が入ってしまうところ。もう少しと思って炒めていると気がつくとぐずぐずに崩れてしまう。もう少しかなというくらいがちょうどいい。
カブときゅうりの浅漬け
<材料>
カブ 3個
きゅうり 2本
塩 少々
調味液
白だし 大さじ4
酢 大さじ2
水 大さじ2
<作り方>
1.カブは茎を切り落としてから、ひと口大のくし型に切る。きゅうりはヘタを切り落とし、縞状に皮をむき乱切りにする。
2.塩小さじ1/2を振って馴染ませ、水気が出たらザルに上げて水気を切る。
3.ジップロックなどの保存用のビニール袋にカブときゅうりを入れて合わせた調味液を加えて冷蔵庫で1〜2時間馴染ませる。
カブの豆乳スープ
<材料>
カブ 3個
カブの葉 2本
玉ねぎ 1/2個
ベーコン 1枚
水 200ml
コンソメ顆粒 小さじ1
豆乳(成分無調整) 200ml
味噌 大さじ1
塩 少々
胡椒 少々
<作り方>
1.カブは皮をむいて縦半分に切り、1.5㎝の厚さに切る。葉は小口切りにする。玉ねぎは縦薄切りにする。ベーコンは1㎝幅に切る。
2.鍋に水を入れ、かぶ、ベーコン、玉ねぎ、コンソメ顆粒を入れて火にかけ煮立ったら、弱火にしてカブが柔らかくなるまで5分ほど煮る。味噌を溶き入れたら豆乳を加えて沸騰しないように温めて塩で味と調える。
3.器によそい、カブの葉を載せ、胡椒を挽く。
ariko
エディター / ライター
「CLASSY.」「VERY」などファッション誌の表紙などを担当するエディター、ライター。インスタグラムに投稿するセンスあふれる料理写真や食いしん坊記録で話題に。Instagramのフォロワーは20万人越え。著書に「arikoの食卓」シリーズ(ワニブックス)、「arikoのパン」(主婦の友社)「ありこんだて」(光文社)「おいしいルーティン」(講談社)「arikoの家和食」(講談社)に続いて、7月7日にはお菓子の本「arikoの喫茶室」がマガジンハウスから発売中。