マッシュルーム
秋の景色にはキノコが合う。木々の葉が色づき始め、冬の気配も感じるこの頃、店先に並ぶキノコも定番の椎茸やしめじ、エノキに加え、ちょっと珍しい品種も加わり、実に賑やか。気の向くままに取り合わせてお鍋に入れたり、マリネにしたりして楽しむのもこの時期ならではのお楽しみだ。
数あるキノコの中でも一年を通して楽しめるのがマッシュルームだ。定番中の定番だけど、煮込み料理によし、ミートソースやナポリタンなどのパスタ、シチューにも欠かせない。ひとことにマッシュルームと言ってもホワイトとブラウンの2種類がある。よく見かけるホワイトは上品な香りとまろやかな味わいでサクサクと優しい歯触りがどんな料理にも合う。それに対してブラウンは香りも味も濃厚できゅっきゅっとした歯応えがある。どちららにしても新鮮なものを選ぶのが美味しく食べる最大のポイント。
収穫してから時間が経ったものはしんなりとして色も食感も悪く、切った時もへにゃっとしてしまう。特に生で食べるときは包丁を入れた時にしっかり固くて中が白い状態であることが大切だ。新鮮なものが手に入ったらぜひ生のままサラダにして食べてみてほしい。生のまま食べるのを躊躇してしまうという方もいらっしゃるかもしれないが、これがなんとも香りが良くてクセになる美味しさなのだ。生のまま食べて大丈夫なんです!ホワイトでもブラウンでもお好みで、洗うと水気を吸い取ってベチャベチャになってしまうので洗わなくてもO K。汚れははたいて土が付いていたら切り落として薄くスライスする。
マッシュルームだけでも美味しいが、同じように薄くスライスしたセロリと合わせるのが我が家の定番だ。マッシュルームとセロリ、刻んだパセリと一緒におろしたパルミジャーノ、塩、たっぷりのレモン汁と上質のオリーブオイルで和えて仕上げに挽きたての黒胡椒を。ローストした松の実や胡桃を加えればより完成度が上がる。ワインによく合うおつまみ系サラダが完成する。
セロリの代わりにクレソンと茹でたインゲンを組み合わせたものも我が家でよく食卓に登る。この時のドレッシングはワインビネガーに粒マスタードと塩胡椒に醤油を少々加えてオリーブオイルと合わせたものを。おつまみ代わりになるのでとても便利だ。
同じようにスライスしたマッシュルームをのせてオーブントースターで焼いたトーストもおすすめ。食パンでもカンパーニュでもお好きなパンにマヨネーズと好みでマスタードを塗り、スライスしたマッシュルームをたっぷりのせ、オリーブオイルとおろしたチーズと胡椒をふりかけてチーズが香ばしく溶けたら完成。仕上げにあれば刻みパセリをふると風味がよい。
マッシュルームと玉ねぎだけで作るポタージュも簡単にできて味わい深い。薄切りにした玉ねぎとマッシュルームをバターで水気がなくなるまで炒めたところに薄力粉を少々加えてさらに炒め、水を注いでコンソメ顆粒を少々加えて10分ほど煮てからミキサーやブレンダーで滑らかになるまで撹拌して牛乳で好みの濃度になるまで緩めて温める。
ざく切りにしたマッシュルームと玉ねぎ、ニンニクをバターで炒めてコンソメ顆粒と塩胡椒で味付けしたものを炊きたてご飯に混ぜ込んだマッシュルームご飯は実家の母ゆずりの定番レシピ。ピラフのような炒飯のような味わいで特にローストした肉料理によく合う。マッシュルームとバターとの組み合わせは旨味の塊、ただのバターライスが何倍にも美味しくなる。
マッシュルームの他に、椎茸やしめじ、エリンギなどの好みのキノコを取り合わせたマリネも作っておくとそのままワインのおつまみに、パスタに、カレーの副菜とたっぷり作り置きしておくと重宝する。盛り付けの時に刻みパセリとピンクペッパーを振りかけるとぐんと華やかになるので人が集まる時などにはちょっとひと工夫してみてほしい。
マッシュルームとセロリのサラダ
<材料>
マッシュルーム 10個
セロリ 1本
イタリアンパセリ 3本
松の実もしくは胡桃 大さじ2
パルミジャーノレッジャーノ 大さじ3
レモン汁 大さじ2
オリーブオイル 大さじ2〜3
塩 小さじ1/2
黒胡椒 少々
<作り方>
1.マッシュルームとセロリは薄切りにする。イタリアンパセリは粗みじん切りにする。松の実は中火のフライパンで香ばしく炒る。胡桃はオーブントースターなどでローストして粗く刻む。
2.ボウルにセロリとマッシュルームを入れ、オリーブオイル、レモン汁、塩胡椒、パルミジャーノレッジャーノをかけてざっくり和える。器に盛り、ローストした松の実と(胡桃)とイタリアンパセリをふる。好みでさらにパルミジャーノを追加してかける。
きのこのマリネ
<材料>
マッシュルーム 1パック
しめじ 1パック
エリンギ 1パック
椎茸 6枚
まいたけ 1パック
紫玉ねぎ 1/4個
ニンニク 1かけ
塩 小さじ1
黒胡椒 少々
コンソメ顆粒 小さじ1
ワインビネガー 大さじ1
オリーブオイル 大さじ2〜3
イタリアンパセリ 適量
ピンクペッパー 適量
<作り方>
1.キノコは石付きのあるものは切り落として小房に分ける。しいたけは石付きを切り落として1、5センチの厚さに切る。マッシュルームも土のついている場合は切り落として1、5センチの厚さに切る。キノコは全部揃わなくても3〜4種類を取り合わせて。
2.紫玉ねぎ、ニンニクはみじん切りにする。
3.フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、キノコとニンニクを入れて塩ひとつまみを加えて強火で焼き付ける。あまりいじらず、片面に香ばしい焼き色がついたらざっくり混ぜ合わせてしんなりするまで加熱する。ワインビネガーと塩胡椒、コンソメ顆粒を加えて味を調えて、最後に紫玉ねぎを加えて混ぜる。しっかり冷まして器に盛り、イタリアンパセリとピンクペッパーをふる。冷蔵庫で4〜5日保存可能。
ariko
エディター / ライター
「CLASSY.」「VERY」などファッション誌の表紙などを担当するエディター、ライター。インスタグラムに投稿するセンスあふれる料理写真や食いしん坊記録で話題に。Instagramのフォロワーは20万人越え。著書に「arikoの食卓」シリーズ(ワニブックス)、「arikoのパン」(主婦の友社)「ありこんだて」(光文社)「おいしいルーティン」(講談社)「arikoの家和食」(講談社)に続いて、7月7日にはお菓子の本「arikoの喫茶室」がマガジンハウスから発売中。