最後の輝きを放つプレシャスなハワイ発ジュエリー Vol.2 Nature Metal Works
ハワイの自然をまるごとジュエリーに
珍しく貿易風が吹かない少しだけ湿気を感じる日に伺ったのはハワイを代表するミッドセンチュリーモダン建築家オシポフが設計し、自らのオフィスとして40年間使用していた建物。そのペントハウスにあるギャラリーに飾られたジュエリーの中に、私たちがよく知るハワイのプルメリアやハイビスカスといった類はなく、「え〜っとこれナニですか?」と恥ずかしながら聞いてしまった。
涼しげな白いアウトフィットが素敵なジュエリーデザイナーのTomi Bratland さんと会うのは2回目。なんていうのかな〜、ハワイではあまりお見かけすることのないシンプルな装いがとてもさりげなくおしゃれな方。そして優しく笑いながら、「これは、ジャカランダの種、そっちはシルバーオークの種、その奥は夾竹桃の葉、あとハート型のハートポッドの大きな種とかいろいろ。」
さあたった今咲いた私は美しいでしょう、と発信する自然ではなく、朽ち果てる前の最後の輝きを拾い上げて愛でる、その感性で受け取る自然の姿。なんだか目から鱗の本来の自然を見せつけられた気持ち。そしてこの種たちはまたいつか芽吹き次のハワイへと繋がっていく。持続可能な自然を感じるハワイ発ジュエリーだなんて、素敵すぎませんか。
オアフ島の街中やビーチパーク、以前暮らしていたマウイ島のアップカントリー・クラの庭を歩いていると目に入るなにげない自然が心に響く。それを時には手で作りあげ、時には型を取って鋳造したり、ありとあらゆる手法を使い、シルバー、ゴールド、ゴールドプレートといった素材の作品にしていく。
今の時代にぴたりとはまるフィロソフィーですが、Tomiさんがジュエリーを作りはじめたのは24年前。その時は東京で暮らしていて、自然は探さないと見つからなかったそう。だから歩いている時に拾う花や植物、実や種に癒してもらい、インスピレーションをもらって以来、テーマはずっと自然。
「この木なんの木」で有名なモンキーポッドも種がいいと言う。私なんてコーディネーターとして関わったCM撮影中、木の下一面に落ちている種を踏んで歩き、それがビーチサンダルにくっつくもんだから、もうほんと嫌ね〜なんて思っていた。10年前の自分を今更ながら戒めたい。ほんとにごめんなさい。
とはいえTomiさん下ばかり歩いているわけではありません。時には大きく空を見上げて、まんまるのお月様を眺め指輪にしたりしています。話を聞いていると、下を見たり、上を向いたりして生まれる「Nature Metal Works」に人生まで重なってくる。でもTomiさんのジュエリーはどれも洗練された姿となり、ハワイの一部として命続いていくよう。
私も、そうありたい。
infomation : Nature Metal Works
www.nmwjewelry.com
https://www.instagram.com/naturemetalworks/
MAYA KUDO
メディアコーディネーター
大分県出身、ホノルル在住約20年。雑誌、テレビなどのメディアコーディネーター、ライター。虹の谷マノアに暮らす。どんな世代にもフィットするハワイを発信、歴史やカルチャーなど古き良きハワイをベースに最新ハワイを網羅する知識でメディアからの信頼も厚い。著書のほか、ハワイの風を感じるインスタグラム、連載も多数。CREA「おもてなしハワイ」、JAL機内誌Eheu、ハワイ州観光局運営のAll Hawaiiなど。趣味は日の出前から出かけるフリーダイビングと海上がりのがっつりプレートランチ。