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野菜を食べる

和食の晩ごはんを作るときに甘辛味のものが欲しいなと思うとついつい作ってしまうのがれんこんのきんぴらだ。同じきんぴらでもごぼうに比べると圧倒的に切るのが楽でシャキシャキとした歯触りが心地よいのもいい。

しかも断面図はボコボコと穴が開いた様子が水玉模様のようで小鉢に盛ってもお弁当にあしらってもなんとも絵になるヤツ。その穴の開いた見た目から「先を見通す」という言葉を連想させるからか、縁起のよい食材としてお正月料理にも使われてきた。お煮しめに花の形に型抜きされたれんこんが入っていると俄然華やかでお正月らしく見える。とはいえ我が家ではその手間を惜しんでなかなか手が回らない。今年こそはと毎年思いつつも、結局いつも通りの普段着の輪切りになってしまう。

きんぴらは極薄く切るのが好み。すると食べやすく歯応えもいい。しっかり水にさらしてからごま油で炒めて、鷹の爪も少々、砂糖、みりん、醤油で甘辛味に。火を止める前に酢を少々加えると味が決まる。酸っぱさは消えてコクのような旨みが加わる。仕上げにたっぷりと胡麻を振るとさらに香ばしい。

一年を通してスーパーに並んでいるれんこんだが、その旬は秋から冬。９月の下旬まで水田で成長を終えた後、そのまま田んぼの中でしばらく寝かせておくことででんぷんが糖に変わり、ねっとりと甘みが出る頃がまさに旬を迎えるが、初夏から今の時期にかけて採れる新れんこんも捨て難い。柔らかな歯応えでみずみずしく、あっさりとした味わいなのでさっと火を通して甘酢漬けやサラダにするとその透き通るような白さを楽しめる。

大きな節を見つけるといそいそと持ち帰り、半分はきんぴらに、残りは甘酢漬けにしておくと常備菜として重宝する。甘酢漬けには市販の蒸し大豆を加えるのも好み。ホクホクとシャキシャキで食べていて飽きがこない。

薄切りにしたものを水によくさらして油で揚げるとカリカリのれんこんチップスに。揚げるとレンコンの甘さが引き立ち、おやつにもおつまみにもピッタリ。そのルックスを生かして料理のアクセントにするのもおすすめ。食感とアクセントのまさに才色兼備の働きをしてくれる。

ちなみにれんこんチップスは市販のも見つけると試してみている。中でも瀬戸内のレモンとの組み合わせは酸っぱしょっぱくてハマってしまった。カルディや成城石井などで見つけるとまとめ買いしてしまうほど。

切り方によって食感の違いが楽しめるのもれんこんの特徴だ。薄いスライスばかりでなく、粗みじん切りにしたものを挽肉に混ぜたつくねは時折歯に当たるカリッとした食感がアクセントになるし、すりおろして加えればもちもちした食感を楽しめる。

和風の食べ方が多いれんこんだが洋風の料理にももちろん合う。いちばん簡単なのはチーズ焼き。３ミリほどの厚さに切ってからやはり水にさらしてからしっかりと水気を切り、オリーブオイルを引いたフライパンで両面を焼いてひと塩してからパルメザンチーズをたっぷりとかけて溶ければ完成。なければ溶けるチーズでもOK。カリッと香ばしく後を引くビールによく合う（あ、もちろんワインにも）おつまみになる。好みでチリパウダーなどでピリッとさせても美味しい。これを作るとあっという間に売り切れて、もっと作ればよかったといつも後悔する。大胆に厚切りにしてじっくり焼くとほっくりとした甘さを楽しめる。トーストに乗せてパルミジャーノやミモレットチーズなどをおろしかけると意外な美味しさでこちらもワインが進むこと間違いなし。

茹でれんこんの明太子和えは食べた人みんなからレシピを教えてと言われる人気の一品。１センチ弱の厚さに切ってからひと口大にしたれんこんを歯ごたえを残して茹でてから明太子のソースで和えるのだが、たっぷりと絞ったレモン汁でさっぱりと食べられる。茹でたタコやささみを加えるとご馳走感が増すけれど、れんこんだけでも十分。冷蔵庫で４〜５日は保存できるから常備菜として用意しておくのをお勧めする。

れんこんの明太子和え

<材料> 
れんこん　200g
ソース
辛子明太子　1腹
レモン汁　１個分
太白ごま油（または米油）　大さじ2
薄口しょうゆ　小さじ2

<作り方>
1.れんこんは皮をむき、縦6等分に切り、8ミリの厚さに切って水にさらす。

2.明太子は薄皮から中身をしごき出してボウルに入れ、レモン汁、油、薄口しょうゆを加えて混ぜ合わせる。

3.鍋に湯を沸かし、塩少々（分量外）を入れ、水気を切ったれんこんを加えて2分ほど硬めに茹でてザルに上げる。熱いうちに２のボウルに入れて和える。粗熱が取れたら器に盛る。