FOOD - COOKING

旬真っ盛りのなす

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暦の上ではもう秋なのにまだまだ猛暑が続いているこの夏。なすが美味しくて毎日のように食べている。なすといえば「秋なすは嫁に食わすな」という諺もあることから、秋に美味しくなるのかと思っていたのだが、なすの旬はやっぱり夏。

パーンと皮が張って切り口から水が滴り落ちるようなみずみずしいものが食べられるのは今の時期だからこそ。秋になると皮が硬くなり、多少えぐみが出てしまうので、この諺は嫁の身体を気遣ってのことだったのだということが改めて調べてみたことで判明。昔の人って意外にお嫁さんに優しかったのね。というわけで今月は旬真っ盛りのなすについて。

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改めて考えると、なすのおいしさはとにかく水分だと思う。最近では柔らかでフルーツのように甘味がある水なすがスーパーに出回るようになった。その名前の通り、アクもなく水分もたっぷりなので、そのままサラダにしたり、ナムルにしたりと生のまま食べるのが美味しい。

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ちなみに水茄子は金気を嫌うのでお尻のところに包丁目を入れて手で割くようにするといい。話を普通のナスに戻すと切り立てのなすの表面はまるでスポンジのようで、浅漬けや糠漬けにしたものなどはきゅっきゅっとした食感で歯に当たる。それが一旦火を入れるとスポンジが水を含むようにたっぷりの水分を身の内側に湛えてとろりととろけるように柔らかになる。

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よくなすの美味しさを表現するのにシミシミという言葉を使うが、焼くなり、揚げるなりしたものに美味しいお出汁をたっぷり含ませたものは思わず顔がほころんでしまうものだ。それに和洋中と料理法を問わないのもなすのいいところ。

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和なら焼きなすに揚げ浸しや煮浸し、洋ならラタトゥイユやマリネ、トマトソースやチーズと合わせたオーブン焼きにパスタ、中華は言わずと知れた麻婆茄子、そして甘酸っぱいタレをかけた蒸しなす、などなど。お店で食べたもので忘れられないものがふたつある。

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ひとつは板橋の駅から外れた場所で風変わりな店主が営む「蜃気楼」という1日1組のお客しか受けない中華料理店の揚げなす。皮を剥いて揚げたなすに香ばしいスパイス塩がまぶされたもので、ひと口齧れば表面はカリッとしながらふわっと軽く、中身はとろり、ニンニクや山椒、クミンなどが混じり合ったスパイス塩がなんともいえない。家でも食べたくてなんとか同じようなものをあれこれ試してみるのだが、どうしても同じようにはできない永遠の謎。何度も通って毎回食べているので店主に教えを乞うのだが、いつもはぐらかされてしまう。

もうひとつは中目黒にある町中華の名店、「鶏舎」のなすのナスの炒め煮。夏の冷やしネギそばかりが注目されているが、一品料理の美味しさもなかなか。ナスの炒め煮は半分に切ったものにタッセルのように切れ目を入れたナスと挽肉が絡み合った言ってみれば辛くない麻婆茄子のような趣で、チャーハンと一緒に食すとたまらない美味しさ。夏の冷やしネギそばの時期はチャーハンがお休みなので、このコンビを楽しむのは季節限定の冷やしネギソバが終わる頃までお預けになる。

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なすといえばなす紺と呼ばれるきれいな紫色もなすの魅力のひとつ。よくきれいな色を保つにはどうしたらいいのかと質問を受けることがあるが、なすの色素は水溶性なので、油を使わないと色素が流れ出てしまう。油と組み合わせれば艶々としたきれいなままの紫色が保てる。

揚げるときには皮目から油に入れて。油っぽいのが嫌な場合は切った後に薄い塩水に浸してたっぷりとなすに水を吸わせるとその後油を吸い込みすぎず、みずみずしさはキープできるのでおすすめだ。

 

揚げる際にはしっかりと水気を拭き取っておくことをお忘れなく。そうしないとバチバチと油が跳ねて大変なことになってしまう。ここでは揚げるより簡単なフライパンで焼いてから煮浸しにする方法を。

皮の表面に細かな切れ目を入れて四つ割りにしたなすを多めの油で焼き付けてから、余った油を拭き取ってそこにだし汁と調味料を加えてさっと煮ればシミシミの煮浸しが出来上がる。

熱々も美味しいけれど、漬け汁に浸したまま、冷たくして素麺にかけたものも食欲の落ちたこの時期に喜ばれること間違いなしの一品になる。


なすの揚げびたし

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<材料> 
なす 4本
サラダ油 大さじ2.5

A
だし汁 400ml
みりん 大さじ4
醤油 大さじ4
砂糖 小さじ2
鷹の爪 適量

大根おろし 適量
おろし生姜 適量
大葉 適量

<作り方>

1.なすはヘタを切り落とし、縦ふたつに切り、皮面全体に2〜3mm幅に浅く切り目を入れる。さらに縦半分に切る。さっと水に浸してからキッチンペーパーなどでしっかりと水気を拭き取る。

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2.ボウルなどにAを合わせておく。

3.フライパンにサラダ油を入れて火にかけ、油が温まったら一度火を止めてから、なすの皮面を下にして入れる。再び火をつけ、中火で皮面が鮮やかな紫色になったら裏返しながら切り口がきつね色になるまで焼き付ける。

4.なすはそのままにして、油が残っていたらキッチンペーパーで拭き取り、2を注いで3〜4分煮る。器に盛り、大根おろし、おろし生姜、千切りにした大葉などを添える。冷やして食べる場合は完全に覚めたらラップをして冷蔵庫でよく冷やして味を馴染ませる。そのまま汁ごとそうめんにかけるのもおすすめ。

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ariko

エディター / ライター

Instagram : ariko418

「CLASSY.」「VERY」などファッション誌の表紙などを担当するエディター、ライター。インスタグラムに投稿するセンスあふれる料理写真や食いしん坊記録で話題に。Instagramのフォロワーは20万人越え。著書に「arikoの食卓」シリーズ(ワニブックス)、「arikoのパン」(主婦の友社)「ありこんだて」(光文社)「おいしいルーティン」(講談社)「arikoの家和食」(講談社)に続いて、7月7日にはお菓子の本「arikoの喫茶室」がマガジンハウスから発売中。