LIFE STYLE - TRAVEL

vol.3 K36 The Bar & Rooftop(ザ・ホテル青龍 京都清水)

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国内外のホテルに精通したトラベルエディター、伊澤慶一の新連載「日常にもっとホテルを」。レストラン、ラウンジ、バーなど、ビジターでも存分に非日常を感じられる、賢いホテルの使い方をご紹介します。第三回目はシリーズ初の京都で、かつての小学校屋上にできたルーフトップバーを紹介!
宿泊先としてもイチオシとのことで、館内も案内してもらいました。

世界中から観光客が集まるだけあって、1泊1,000円前後のドミトリーから10万超えのラグジュアリーホテルまで、様々なステイ先が揃う街・京都。毎回訪れるたびに新しいホテルが誕生しており、情報をアップデートするだけでもなかなか大変だ。
そんな中、トラベルエディターとしてここ2年の間で既に2度、媒体で紹介させていただいたお気に入りのホテルがある(今回で3回目)。
それが「ザ・ホテル青龍 京都清水」だ。観光に便利な東山地区にあり、そのコンバージョン手法や、ウェルビーイングな朝食など、おすすめポイントは山ほどあるホテルなのだが、まずはビジターでも利用可能なルーフトップバーから紹介しよう。

京都市はその美しい景観を維持するため独自の厳しい建築規制を設けており、市内にタワーマンションや超高層オフィスビルを建てることはできない。
それゆえ、清水の坂道を登る途中、少しだけ標高の高い位置にある当ホテルの「K36 The Bar & Rooftop」は、4階(最上階)という表示からは想像できないほど、京都市街を一望できる絶景バーとなっている。
視界をさえぎる建物はなく、目を凝らせば嵐山や鞍馬山なども見渡せるほど・・・。

いや、ひとつだけ眼前にそびえる建物があった。高さ46m、「八坂の塔」の愛称で知られる法観寺の五重塔だ。八坂神社と清水寺の中間に位置するこちらの塔は、幾度も火災で焼失してきたがその都度建て直され、1440年に室町時代6代将軍・足利義教が再建し、現在の姿になったという。

法観寺・八坂の塔を借景としたルーフトップからの眺めは、京らしさたっぷり。
ちなみに私が手に持っているのは、「季の美」や「ジャパニーズクラフトジンROKU(六)」など3種類のジンをブレンドした「K36 ジン トニック」。
トニックウォーターのボトルが逆さまに挿された状態で提供され、最後に抜いて自分自身で仕上げるという遊び心満載のカクテルだ。

他にも2ヶ月に1度はグラスのシャンパーニュを入れ替えたり、季節の果物を使ったシーズナルカクテルを用意したり、オロナミンCを使ったカクテルをブラックライトでライトアップさせたりと、こだわりとユーモアが詰まったドリンクメニューになっている。絶景スポットとしてなら一度来れば十分なのだが、単純にお酒がおいしいから京都に来るたびにリピートしたくなる。そんなバーだ。

このホテルのバーがあるのは、かつての清水小学校の校舎の4階。
つまり、小学校全体が大規模コンバージョンを経て「ザ・ホテル青龍 京都清水」として生まれ変わったということだ。写真を見ていただくとわかると思うが、左上の屋上に見えるパラソルがK36 The Bar & Rooftop。

校庭はエントランスや車寄せに、教室や職員室は客室に、講堂はレストランへと姿を変えている。新たに土地を切り開くのではなく、かつての建物を保存・活用することで、地元に愛される小学校の面影も残したヘリテージ(遺産)ホテル。
聞くところによると、卒業生たちがホテルに泊まりに来て母校を懐かしむ、といったケースもあるそうだ。そんなホテルのストーリーや取り組みの美しさが、つい何回もこのホテルを紹介してしまう要因かもしれない。

この小学校の卒業生でなくても、このレトロな廊下を歩けば誰もがノスタルジーを感じるに違いない。階段の手すりには、子供たちが滑って遊ばないための滑り止めが残っていたり、校舎時代の梁がそのまま覗いていたり、今でも小学校としての面影をはっきりと留めている。

それでいて教室を改修したという客室の広さは平均で50㎡という贅沢なつくりで、水回りは嬉しいダブルシンクが標準となっている点など、ホテルとしても申し分ない。八坂の塔が見えるお部屋は「パゴダビュー」の名称で人気となっており、テラス付きタイプの客室もある。

最後に、ここでの朝食「ウェルビーイング・ブレックファスト」も紹介しておこう。ウェルビーイングとは、心身ともに良好な状態を指し、ホテル滞在を通して身も心も健康を取り戻すというのが、昨今のホテルステイでも重要なテーマになっている。

ザ・ホテル青龍 京都清水では、医師監修のもと選べる6種類の朝食を提供。グルテンフリーな米粉のパンケーキやそば粉のガレット、京の和朝食膳やこだわり平飼い濃厚卵を作った卵料理など、どれも体に優しい健康的なメニューとなっており、清々しい朝を迎えることができる。飲んでよし、泊まってよし、食べてよし。三拍子揃った京都のおすすめホテル。地元が関西という方も、観光で京都を訪れる方も、ぜひ遊びに訪れてその目で素晴らしさを確かめてもらいたい。

今回紹介したバーとホテルはこちら !
K36 The Bar & Rooftop
TEL:075-541-3636

ザ・ホテル青龍 京都清水
TEL:075-532-1111

 

 

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KEIICHI IZAWA

トラベルエディター

instagram : izawakeiichi

旅行ガイドブック『地球の歩き方』編集部にて国内外のガイドブックを多数手がけ、2017年に独立。現在は、雑誌のホテル特集ページ制作を手がけたり、「ワーケーション」や「ステイケーション」をテーマに連載記事の執筆、また自らのInstagramアカウントで日々おすすめホテル情報を発信している。