とうもろこし
こんにちは。今月からテーマを新たに改めて連載を始めさせていただきます。新しいテーマは季節の野菜。恥ずかしながらお肉、お肉と騒いでいたのも今や昔。年を重ねるごとに季節の野菜の美味しさを実感する今日この頃。旬の野菜とのエピソードとお気に入りのレシピをご紹介したいと思います。どうぞおつきあいくださいますようお願いいたします。
記念すべきリニューアル一段はとうもろこし!梅雨が明けるのはもう少しかかりますが、スーパーに並ぶ野菜たちはもうすっかり夏モードに。きゅうりやナス、枝豆などと並んで燦然と輝いているのがもぎたてそのままの姿で積み上げられたとうもろこしたち。元気をもらえる鮮やかな黄色、シャキッとした歯触りと香ばしく濃厚な甘味・・・。毎年この時期を待ちかねるほど、とうもろこしの大大大ファン!
お店のメニューにとうもろこしの文字を見つけると平常心ではいられないほど。冷たいポタージュにかき揚げやフリット、炊き込みご飯など、どう料理してもその濃厚な甘さにうっとり。家でももちろん、よく食卓に登らせている。最近では、甘々娘やゴールドラッシュ、ピュアホワイトなど甘さの濃厚な品種も続々登場しているのもうれしい限り。あれもこれも食べてみたくて、売り場で悩むのも楽しいひとときだ。
いちばんシンプルな茹でとうもろこしにもちょっとしたコツがある。茹でるときは皮を剥かず、水から茹でて、沸騰させないこと。この3つを守るだけでびっくりするほど甘くシャキシャキに仕上げることができる。
まず、ヒゲの茶色い部分を切り落とし、薄皮を1〜2枚残して外側の皮剥き、とうもろこしが平らに並ぶ大きめの平鍋にヒタヒタの水を入れて沸騰させないように5分茹でればO K。ゆっくり熱を加えることでとうもろこしの澱粉がしっかりと糖に変わり、甘さを引き出すことができるのだ。
茹で上がったら、薄皮のままザルなどにあげて常温になるまで冷まして皮をむき、あとはラップに包んで保存できる。熱々のうちにバターを溶かして塩を振って食すのが最高。
マヨネーズを塗って、たっぷりの粉チーズとチリパウダーを振り直火で炙ったキューバ風のグリルも暑い時期にぴったり。ライムをキュッと絞れば冷たいビールの最高の相方になってくれること間違いなし。
一度茹でたものを削ぎ切りにしてアーリオーリオペペロンチーノに乗せれば夏仕様の一品に。生のままの調理なら、そのまま素揚げにするか炊き込みご飯にするのがおすすめ。
素揚げはかき揚げにするより簡単なのがいい。皮を剥いたとうもろこしをぽきんと二つ折りにしてから縦に四つ割りにして片栗粉をはたいて160〜170℃の油で揚げれば、芯の部分がみるみるうちにくるんとカールするので取り出して塩と黒胡椒を振ればシンプルなのに甘さがぎゅっと濃縮して病みつきになる美味しさ。
バターと醤油バージョンも捨てがたい。見た目も可愛くインパクトがあるので最近ではかき揚げよりもこの素揚げにすっかりハマっている。
もはやこの時期の定番と言えるのがとうもろこしの炊き込みご飯。ご存知の方も多いかと思うが、ご飯を炊く際には削ぎ落とした粒と一緒に芯を入れて炊き込むことをお忘れなく。粒だけの時よりもぐんと香りも風味も良くなってお代わりが止まらなくなってしまうはず。
炊き上がりにはやっぱりバターをひとかけと挽きたての黒胡椒を。生ハムとパルミジャーノをかければ和洋折衷バージョンに。こちらもまた捨てがたい。ワインにも合うので洋風の献立の〆にぜひ!
とうもろこしと生ハムのご飯
<材料>(2人分)
とうもろこし 1本
米 2合
水 360ml
酒 大さじ1
塩 小さじ1
バター 15g
生ハム 80g
パルミジャーノレッジャーノ 適量
黒胡椒 少々
<作り方>
1.とうもろこしは長さを半分に切り、粒をこそげ取る。米は洗ってからざるに上げる。
2.鍋に米と水を入れ、30分ほど浸水させる。酒、塩、とうもろこしの粒と芯を加え、蓋をして中火にかける。沸騰したら弱火にして13〜14分炊く。
3.火を止めて5分ほど蒸らし、芯を取り出す。バターを加えて全体を混ぜ、生ハムを一枚ずつフワッとのせ、パルミジャーノを削りかけ、黒胡椒を挽きかける。なお鍋を使わず、炊飯器で炊いてもよい。
ariko
エディター / ライター
「CLASSY.」「VERY」などファッション誌の表紙などを担当するエディター、ライター。インスタグラムに投稿するセンスあふれる料理写真や食いしん坊記録で話題に。Instagramのフォロワーは20万人越え。著書に「arikoの食卓」シリーズ(ワニブックス)、「arikoのパン」(主婦の友社)「ありこんだて」(光文社)「おいしいルーティン」(講談社)「arikoの家和食」(講談社)に続いて、7月7日にはお菓子の本「arikoの喫茶室」がマガジンハウスから発売中。