マイヤー社「圧力鍋」
今回は大物です。今から3年ほど前に我が家に彗星のように現れて八面六臂の活躍をしてくれている圧力鍋です。圧力鍋というとそれまで実家の母が昔使っていたような蒸気の吹き出し口がカタカタ言っていたかと思うとものすごい勢いで蒸気がピューっと吹き出す様子が恐ろしすぎて、それ以来敬遠していたもの。
それが宗旨替えして思い切って購入したのは、ハワイに住む友人にごちそうになったお手製のコーンビーフがあまりにも美味しかったから。塩漬けにした牛肉のかたまりを圧力鍋に入れて30~40分ほど煮込むだけでほろりと柔らかにほどけるコーンビーフが完成するのを目の当たりにして、これは自分でも作ってみたいと…。帰国してさっそくいろいろ調べていくうちに出会ったのが、マイヤー社のこの圧力鍋。まずステンレス製のシンプルなデザインがキッチンに馴染んでとてもいい。サイズ感も大き過ぎずにちょうどいい。そして肝心の操作もとても簡単なのが大きな決め手。ワンタッチで開閉できて、しっかりと密封できる。火にかけて圧力がかかると赤いポッチが上がり、抜けるとそのポッチが下がって教えてくれる。購入して初めて作ったコーンビーフがあまりにも上手にできたので、すっかり調子に乗っていろいろ煮込んでみました。
圧力鍋を使うと柔らかくなるまで2時間以上かかる牛すね肉も牛すじ肉も豚の角煮も煮豚も20~30分も煮込めばとろとろに。肉類だけでなく、あずきや黒豆などの豆類もしっとり柔らかに、丸のままのじゃがいもも5~6分でほくほくの仕上がりになる。これを知ってからポテトサラダを作るのが億劫ではなくなった。よく作るのはいぶりがっこ入りのポテトサラダ。蒸し上がったジャガイモの皮をむいて粗くつぶしたら、マヨネーズとクリームチーズを加えて味付けしてから、刻んだいぶりがっこも投入。クリームチーズのまろやかさとコクにいぶりがっこのスモーキーな風味が加わっておつまみにぴったりな一品に。
圧力鍋を使い始めてから自分なりに気付いたことがあります。すべてを圧力鍋で作ろうとすると無理があるように思います。味をじんわりしみしみに染み込ませたいものを圧力鍋で作ってしまうと素材の旨みや水けが抜けて、ふにゃふにゃになってしまうので、それを避けるためには、圧力鍋は下ごしらえ用に硬い素材を柔らかくするということに割り切ってしまうということ。固い肉類は生姜や長ねぎの青い部分と一緒に圧力鍋で柔らかくしてから、ふたを開けて調味料を加えて二段階で仕上げることで柔らかさとこっくり感を叶えることができると思います。また脂気の多いものは一度茹でこぼしてから圧力鍋に。そのひと手間でぐんと美味しく仕上がります。
厳しい暑さに冷房をかけっぱなしにして体の芯がだるかったり、食欲がないときに作るのが豚のスペアリブのスープです。食べやすいサイズにカットしてもらったスペアリブを一度茹でこぼしてから生姜と一緒に圧力鍋に入れて20分加熱。できたスープに浮いた脂を一度冷やして取りのぞけば旨みたっぷりのクリアなスープが完成。そこにぶつ切りにしたとうもろこしやとうがんを加えて、塩で味付けするだけでじんわり身体に沁み渡る夏のおわりにぴったりのおかずスープが楽しめます。手が込んだメニューを気軽に時短できる圧力鍋の魅力、まだご存じない方はぜひ、試してみていただきたいと思います。
スペアリブのクリアスープ
<材料>
豚スペアリブ 600g
生姜 1かけら
水 2L
塩 小さじ2
酒 大さじ2
胡椒 少々
とうもろこし1本
<作り方>
1.スペアリブは4㎝幅にお店でカットしてもらう。塩をすりこみ、15分置き、さっと茹でこぼし、ボウルにはった水に取り、表面を洗う。とうもろこしは皮をむき、芯ごと4㎝幅に切る。
2.圧力鍋に1のスペアリブを入れて、水を注ぎ、スライスした生姜を入れてふたをして火にかけ、圧がかかったら弱火にして20分煮る。火をとめ自然放置する。安全ピンが下がったら、ふたを開けて生姜を取りのぞき、上に浮いた脂を取りのぞく。余裕があれば、完全に冷めたものを冷蔵庫に入れて、白く脂が固まるので取りのぞく。
3.とうもろこしを入れて10分ほど茹で、塩と酒、胡椒で味を調える。
商品情報
MEYER/マイヤージャパン
ariko
エディター / ライター
「CLASSY.」「VERY」などファッション誌の表紙などを担当するエディター、ライター。インスタグラムに投稿するセンスあふれる料理写真や食いしん坊記録で話題に。Instagramのフォロワーは20万人越え。著書に「arikoの食卓」シリーズ(ワニブックス)、「arikoのパン」(主婦の友社)「ありこんだて」(光文社)「おいしいルーティン」(講談社)「arikoの家和食」(講談社)に続いて、7月7日にはお菓子の本「arikoの喫茶室」がマガジンハウスから発売中。